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2018/12/13

ファスト・メロディック/メロディックハードコアの未来 -2018年リリースの楽曲に見る様々な未来性-


未だに彼らを形容するにふさわしいサブジャンル名が見当たらない。"ファスト・メロディック"や"メロディックハードコア"、最近では"テック・メロディック"という言葉もこれらにタグ付けされたサウンドを表すジャンルとして認知されているように思う。メロディックパンクのカテゴリーを細分化していく中で、現在最も勢いがあり、個性的で良質なバンドが世界中から出演しているのが"ファスト・メロディック/メロディックハードコア"だろう。こう表現するには理由があり、彼らがBelvedereやA Wilhelm Screamの系譜にある事や、それらを起源に発展してきたからだ。上記プレイリストに含まれるいくつかの楽曲は、そこからさらにオリジナリティを持って枝分かれしたタイプのバンドも含まれている。

ファスト・メロディック/メロディックハードコアの全盛期はとうに昔の事......。そう感じているパンクリスナーは多いかもしれない。しかし、パンクはトレンドではないし、メロディックパンクの歴史も2018年で30年を迎えている。目新しい進化は必要なく、ひとつのカルチャーとしてゆっくりと途絶える事なく歴史を刻み続けていればそれでいい。私の感覚が間違っていなければ、ファスト・メロディック/メロディックハードコアは今、再び全盛期の勢いを取り戻してきている。それも南米が熱い。ここ日本にも熱心なリスナーがいる事は、日頃RNR TOURSで招集し続けている世界中のファスト・メロディック/メロディックハードコアバンドのツアーで証明出来るだろう。

今回は、2018年にリリースされた印象的なファスト・メロディック/メロディックハードコアを鳴らすバンドをピックアップし、プレイリストにまとめてみた。それぞれに異なるオリジナリティがあるので意識してチェックしてみてほしい。

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<プレイリスト : ファスト・メロディック/メロディックハードコアの未来>
01 : SHADOWS - Still Remember
02 : Fair Do's - Closing In
03 : Fullcount - The Host
04 : TOTALFAT - Visible
05 : Wolfrik - Predator
06 : Strike Again - Liberation
07 : Thousand Oaks - Echoes of a Dreadful Past
08 : The Affect Heuristic - Against The Grain
09 : Actionmen - Born To Be High *Live
10 : Main Line 10 - Friends Don't Lie *Live
11 : QUALIA - The Long Pause
12 : Cronos Debe Morir - Tormento
13 : One Hidden Frame - Quicksand
14 : waterweed - in my vein
*ブログトップのプレイリストを再生しながらポストを読んでみて欲しい。
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"日本は世界一のメロディック大国。人気に隠れた彼らのマニアックな挑戦を発見して、世界に発信すべきだ。"


最も個性的で誰にも真似出来ないメロディックサウンドをプレイするSHADOWSが今年発表したアルバム『torches』は、間違いなく今年発表されたファスト・メロディック/メロディックハードコアシーンの中でダントツに優れた作品だ。本作品に収録されている「Under My Skin」は、コアなリスナーも唸らせる素晴らしい楽曲。先日、Blowfuseのジャパンツアー大阪公演で運良くTakahiroさんとお会いできた。彼はBlowfuseはもちろん、Adrenalizedなどもチェックしている熱心なリスナーだった。彼らが日本でこれだけの人気を持っている事に未来を感じるし、いつまでもリスナーを驚かせる存在でいて欲しい。

その他にもTOTALFATがリリースしたアルバム『Conscious+Practice』に収録されている「Visible」は、2008年に彼らが発表した『All The Dreamer, Light The Dream』を彷彿とさせるファストサウンドで驚いた。正直、音楽性とはかけ離れたところの人気でファンベースを保持し続ける国内バンドにはうんざりしているが、SHADOWSやTOTALFATといった人気バンドが音楽的な挑戦を続けているところには大変好感が持てるし、素晴らしいミュージシャンだと思う。

STRIKE AGAINは世界の現行シーンとリンクしながら、オリジナリティを持っているし、プレイリストには入れていないがwaterweedの現行最新曲「in my veins」は世界中のメロディックリスナーがチェックし、好評を得ている。日本ではメロディックパンクは、アンダーグラウンドではない。04 Limited Sazabysの「message」もファストメロディックとして評価出来る楽曲であることは覚えておいたほうがいいかもしれない。

"ファスト・メロディック/メロディックハードコアをよりテクニカルに発展させた先にあるのは何か。
バンドの個性が光るユーロシーンに注目せよ。"

世界的に現行で、良質なファスト・メロディック/メロディックハードコアバンドを輩出しているのはヨーロッパであろう。特にイギリスはDarkoのRobが運営するLockjaw Recordsを始め、いくつかのメロディックレーベルが存在し、個性的なバンドが多く所属する。RNR TOURSでは彼らと一緒に仕事をすることも多く、様々なバンドからオファーをもらう。Fair Do'sはプログレッシヴなフレーズを巧みに展開しながら、華麗にストップ&ゴーを決めていくスタイルでその知名度を拡大している。本プレイリストに収録されているWolfrikはBelvedereのSteveがバンドマネージャーを務めていたり、時代を超えたサポートも厚い。Fair Do'sを筆頭に、The Affect EuristicやOne Hidden Flame辺りの"シュレッダーリフ" (*スラッシュメタルに代表されるような細やかなリフワークの意味) を搭載したファストでメロディアスなサウンドは、メタルコアの影響などを少し受けながら発展している。

国によって魅力がハッキリと違うことは、コア・リスナーにとって大切だ。

メロディックパンクにも国によって、そのサウンドを分別する事が出来るかもしれないと気づいたのは、今年RNR TOURSで招集したactionmenのライブと過ごした時間から感じた。複雑怪奇な楽曲構成の根幹にあるのは、イタリア人の血に流れる芸術性だ。メロディックパンクというキャンパスに様々な色の絵の具を様々な手法で塗り込んでいくように、その奇抜さや不可解さを楽しむかのように演奏している。それはアバンギャルド・メロディックパンクとも言えるし、エクスペリメンタル・メロディックパンクとも言える。イタリア人らしさは他にもドラマーMatiasのドラムセットからもにじみ出ている。ハイハットにスネア、クラッシュシンバルはひとつで、残りはフロアタムのみ。ハイハットの打所を細かく変えながら、多種多様な音色をファストに打ち込んでいく彼のプレイに釘付けになった人も多いだろう。本人にこのシンプルなセットへのこだわりやポリシーみたいなものはあるのかを尋ねると、「たくさんの機材を持ち運ぶのがめんどくさいから、必要最低限のものでたくさんの音色を出せるようにしてるだけだ!」となんともイタリア人らしい回答に驚くとともに納得した。ヨーロッパではツアーとなれば自身のドラムセットをフルで会場に持ち込まなくてはならず、そのセッティングも3ピースバンドともなれば組み立てから解体、搬入搬出までをひとりで行わなければならない。1秒でも早くバーにいってビールを注文する為には、機材は少ないほうがいいというわけだ。

イタリアからは他にもQualia and the Five Ancestors of the Great Maryland Kingdomという長いバンド名のバンドがいて、芸術的なメロディックサウンドをプレイしており、イタリアらしさを感じる。他にも過去RNR TOURSで何度も来日しているJet MarketのAlex率いるThousand OaksがOne Hidden Flamesとリリースしたスプリット作品も芸術性の高い作品だ。今年5月に来日したFANKAZもその手のたぐいに分類出来る。

イタリアの他にも、スペイン、イギリス、ドイツ、スロヴェニアなどなどそれぞれ個性を持つ国がある。そういった違いを意識しながら聴いてみるのも面白いだろう。

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大きくブレイクする事のないジャンルではあるが、軽微な変化や地理的な違いを楽しみにながら楽しむ事が出来る絶妙なジャンルであると思うし、是非来年も様々なバンドをチェックしてみてほしい。



2017/12/28

Best Skatepunk / Melodic Punk Album of 2017


今年はひたすらツアーしてたけど、もちろんスケートパンク / メロディックパンクの新作はチェックしてたし、過去作の掘り起こしにも力を入れていた。個人的にカナダの90年代スケートパンクにハマったのと、2000年代前後のジャパニーズ・メロディックのディグを真剣に再開して、魂 (KON) レコードのアイテムをコンプリートしたり、STREET ROCK FILEを全巻アーカイヴし直したりしてました。そういえば175Rもアルバム出したし、ジャパハリネットもライブしてたよな。一方で大好きなB-DASHが解散してしまったのは悲しかった。

ツアーを組んでて、ヨーロッパがPunk Rock Holidayというフェスティバルを中心に盛り上がりまくっている事、そしてレジェンド達が続々と復活してて、若干リバイバルの流れがあるのかなと感じた1年でもあった。リバイバルというか、もはや流行り廃れもない立派なカルチャーだし、ヘヴィメタルと変わらない気がする。大した進化もないけれど、良いバンドは続々と出てきたように思う。

すでに今年はいくつかパンク系の記事も書いていて、『2018年に聴くべきスケートパンク/メロディックパンクバンド 10選』は、世界中から反響もあって嬉しかった。ひとりのメロディックパンクリスナーとして今年のベストアルバムを10枚選び、前回とは別の記事として書いてみようと思う。まったく同じ10枚を選んでいる人はおそらくひとりもいないかもしれない......。知らないものがあれば是非チェックしてみてください。


作品名をクリックすると視聴リンクに飛べます。


10 - 7Years Bad Luck - 『Great, Big, Nothing』

オーストリア出身3人組。2014年にリリースしたアルバム『Bridges』から久々の新譜は、ベテランの風格すら漂わすパワーポップ気味なメロディックパンク。しっかり現行ヨーロッパのメロディックの雰囲気があるし、Teenage BottlerocketやBad Cop/Bad Copの突き抜けた爽快感はなく、牧歌的な温かみに溢れた大人のパンクアルバム、といった趣を持ち合わせている。The Flatlinersの新譜聴いてるならこれも聴いてみてほしい。



09 - From The Tracks - 『Get Worse』

今年2月に来日したスウェーデンのRebukeのツアークルーとして来てたSean在籍。バンド自体はスコットランドを拠点に活動している模様。2013年に活動休止するまで、日本の高速メロディックパンクブームの中でも割と知名度があった。伸びやかなコーラスワークは高速メロディック映えする艶のある質感。テクニカルではあるけれど荒々しさはなく、風をきって走る爽快感に満ち溢れている。アルバムもコンパクトな内容で心地良い。見事な復活作。



08 - Heartsounds - 『Dualistic Nihilist』

今年11月にRNR TOURSで再来日。初来日は横浜に観に行ってメンバーと記念写真とってもらったりと感慨深いツアーになった。このアルバムは賛否両論で1曲20分の超大作という、パンクシーンでは異例の内容になっている。前作から待ち焦がれていたファンの中には怒れる程失望した人もいるかもしれない。この曲をツアーで毎日聴いていたけれど、やはり変わらずHeartsoundsだ。シュレッダーリフ満載、映画のような仕上がり。これもメタラーだから作れた曲だろう。



07 - 7Years - 『Lifetime』

前作『Psychosomatic』から3年振りの新作。イタリアが誇るベテランメロディックパンクバンドで、その腕前は一級品。LagwagonのJoeyやF.O.D.のHansがゲストボーカルとして参加しているのも話題になった。地味な存在ではあるけれど、心地良いディストーションと味わい深いMatteoのボーカルが胸に染みる。彼らの初来日の時にプレゼントした「DIY OR DIE」と胸にあしらったシャツからヒントを得て作られた同名の楽曲が収録されていたのは嬉しかったな。



06 - Bodyjar - 『Terra Firma』

オーストラリアのメロディック伝説、Bodyjar待望の新作EP。90年代Frenzal Rhombと共にオージーメロディックの二強として活躍、本作もレジェンドの風格漂う力強さに満ち溢れている。4曲入りではあるが、どれもキラーチューンだし、『Terra Firma』という作品の一部としても作用している。スピードとテクニック、というところから離れて、90年代スケートパンクの魅力と現代にサウンドをプレイする男らしさを感じる1枚。




05 - SHADOWS - 『illuminate』

これをパンクだと思って聴いてない人は多いはず。ただ、メロディックパンクを長年掘り続けている人達なら、彼ら (FACT時代も含む) がメロディックパンクバンドとして世界的に人気があることは知っているだろう。もちろん、パンク的とは言えない手法やエッセンスも多いけれど、彼らのサウンドの根幹にあるのは、Belvedere以降の「ファストメロディック」。本作でもそれは大いに感じられるし、ファストメロディックの最新形態といっても過言ではない。




04 - Darko - 『Bonsai Mammoth』

ジャパンツアー後にアルバムをリリースすることを発表。まさかのタイトルに驚いたファンも多いだろう。ただ本作はDarkoの過去最高傑作とも言える、美しいメロディとハイセンスなアグレッシヴさ全開の内容になっていて、リードトラック「Hiraeth」は現行ユーロメロディックのアンセムになっている。世界中でファンベースを拡大、もちろんここ日本でも根強いファンが多い彼らの再来日は近く計画しなければならない。




03 - Propagandhi - 『Victory Lap』

今年下半期の話題はこのアルバムが掻っさらっていった。女性ギタリストを新メンバーに迎え制作された本作をPropagandhi史上最高傑作とうたう音楽情報サイトも多かった。難解な歌詞故、日本では本来のPropagandhiの魅力が上手く伝わりにくい部分も多いと思うが、単純にパンクアルバムとしてハイセンスだしハイクオリティ。「Letters to a Young Anus」は,
タイトルも含めPropagandhiらしさ光る2017年"ロック"の名曲。




02 - The Real MacKenzies - 『Two Devils Will Talk』

このアルバムには心底驚かされた。バグパイプ専任メンバーを有するケルティックパンクの雄として知られている彼らの最新作から確かに感じる"メロディックパンクヴァイブス"。バグパイプがギターのリードパートを担っているような楽曲がいくつか収録されていて、「One Man Voyage」や「One Day」は新しいThe Real MacKenziesの魅力と言えるだろう。もちろんこれまでのファンも大満足の内容。ベテランの底力を見せ付けられた。




01 - F.O.D. - 『Harvest』

2017年ぶっちぎりの1位。4月に来日公演も企画させてもらい、日本での彼らの人気っぷりも証明出来たし、あとはひたすら布教してスタジアムクラスまで押し上げたいと思ってます、いや本気で。抜群のメロディセンスとトップレベルのコーラスワーク。一聴するとシンプルだけれど、リズムセクションは相当手が込んでる。もしこれが1999年にリリースされていたら、彼らは間違いなくGreen Dayを超えるロックスターになっていたと思う。墓場まで持ってく名作中の名作!