2019/12/01

Skatepunk Revolution vol.01 (2019年のファスト・メロディックパンクを振り返る)

*右上をクリックすると、プレイリスト全体の楽曲が表示されます。

▲トラックリスト▲
Much The Same - Snake in the Grass
waterweed - Music is Music
A PART OF US - Fake (Social) Stars
Paylester - Mind In The Speed Of Light
Cigar - Classic You
Laughing In The Face Of - Bullshit with a Smile
THOUSAND OAKS - The Roar Of The Consequence
Out in Style - Dreaming (Official Music Video)
strain for us - BREAK IT DOWN
Dillema - Corrida dos Ratos
Mind Step - Live in Shinkagura, Osaka
CODE AXE - NAKED
TAKE YOUR LIFE - No one's perfect
Almeida - A Song For Europe
Fabled Mind - The Promised Land

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今年もRNR TOURSでは、海外からやってくる沢山のメロディックパンクバンドのツアーをサポートしてきました。その多くが、過去招集したアーティストと同じレーベルであったり、同じコミュニティに属していたりと、どこかで繋がっていました。2019年最初のツアーとなったFair Do’sは、DarkoのRobが運営するLockjaw Recordsに所属し、AlmeidaやThe Human Projectといったバンドらと親交があります。信頼できる仲間からの推薦は基本、断らないですし、想像より良いパフォーマンスをしてくれたり、もちろん人柄も最高だったりするので、自分の目で確かめに行く以上に、共にツアーをすると驚きの発見があったりもします。

そんな世界中のメロディックパンクコミュニティと繋がりながら、オススメしたり、オススメされたりしたアーティストの楽曲を中心に、2019年にリリースされた楽曲でプレイリストを作りました。「Skatepunk Revolution」と銘打っておおよそ8回に分けて、コラムという形で紹介していきたいと思います。第1回はファスト・メロディック系の楽曲をまとめました。

ファスト・メロディック、日本でいう「高速メロディック」の盛り上がりは、ここ数年ヨーロッパを中心としていましたが、Belvedere復活以降、カナダでも2000年代初頭に活躍したベテラン勢が再結成するなどし、新譜をリリースしたり、ツアーが行われていました。数年前まで、その中心にBird Attack Recordsというレーベルがいましたが、残念ながらお金に関わる不祥事により活動はストップしており、現在はその役割をLockjaw RecordsやPeople of Punk Rock Recordsなどが担っています。さらに、昨年くらいから南米から良質なファスト・メロディックバンドが音源をリリースし始めており、ドメスティックな人気から、国際的なものへと発展してきています。日本では、waterweedを筆頭にMIND STEPやZenith Angleといった若手バンドが登場し、ハイクオリティなライブパフォーマンスで力をつけてきているように感じます。


プレイリストの1曲目は、およそ13年振りの新曲発表となったアメリカ/シカゴのMuch The Sameの「Snake in the Glass」。2015年に復活はしていたものの、今年までアルバムリリースなどの話題はなく、メンバーのガン発症など完全復活までは険しい道のりとなりました。しかし見事に困難を乗り越え、アルバムをリリース。そのタイトルは『Everything is Fine』。サウンドはもちろん、歌詞やライブで魅せる雰囲気には、大人の魅力というか、余裕を感じます。ぶっちぎり、今年一番聴いたメロディックパンクアルバムでした。


再び4ピース体制へと回帰し、ペースを落とさず活動を続けているwaterweedの新譜『Diffuse』も、2019年を象徴するメロディックパンク作品のひとつだと思います。共にツアーし、2018年4月に行った”Punk Rules Okay Tour”で共演したBelvedereのSteveとの会話の中で生まれた楽曲「Music is Music」は、シンプルでありながら奥深く、waterweedと過ごした時間が長ければ長い人ほど、胸を打つ楽曲であると感じます。日本だけでなく、ヨーロッパを始め、世界中にファンベースを持っていますし、彼らが作った道筋から、これから多くの国内バンドが世界へ進出していくのを楽しみにしていますし、RNR TOURSとしても、その活動を後押ししていきたいと思っています。

Mind Step

そこで、2019年のリリースであるないに関わらず、いくつか紹介したいバンドについても、ここでお話しさせてもらえたらと思います。昨年の年間ベストアンケートで、waterweedの大賀さんもピックアップしていた大阪のMIND STEP。彼らとは今年何度も共演する機会があり、爆発的なエネルギーを持つライブパフォーマンスに釘付けになりました。詳しく年齢はわかりませんが、まだ20代前半くらいかと思います。LASTENDよりも下にこれだけクオリティの高いバンドがいる関西シーンはしっかりチェックしておく必要があります。関東では、Zenith AngleやTornadoがガンガンライブして、メロディックシーンを盛り上げましたし、金沢のTAKE YOUR LIFEや長崎のCODE AXEら、北から南まで個性的なバンドが勢力的に全国をライブして回っているのも素晴らしい。少しずつでもリスナーが増えて、国際的な盛り上がりになったら、もっともっと面白くなることは間違いありません。

A Part Of Us

話を海外に戻して、様々な地域のファスト・メロディックのニューカマーを振り返ってみたいと思います。ヨーロッパは先にも述べた通り、Lockjaw Recordsを中心に、ベテランから中堅、結成から2、3年の新人まで幅広く活躍していて、相変わらず話題に事欠かない活発さを感じました。イタリア/ベローナにて2016年に結成されたA Part of Usは、MuteやDarko、A Wilhelm Screamに影響を受けながら、Bedtime For Charlieらイタリアンメロディックらしい温かみのあるハーモニーを内包した若手有望株として様々なメディアでピックアップされました。イタリアのポップパンクシーンを古くからサポートしてきたアンダーグラウンドレーベル、This is Coreのサポートを受け、来年はPunk Rock Holidayにも出演するようです。

Bedtime For Charlieにも在籍し、普段はレコーディングスタジオを運営しているAlexがドラム/ボーカルを務めるThousand Oaksもニューアルバム『Bound For Destruction』をリリースし、国内盤がMilestone Soundsから発表されています。Alexが作る楽曲は、スタジオで過ごす時間が長いからこそ生まれるような、繊細でトリッキーなグルーヴがハイセンスでいつも驚かされますね。そしてなにより、イタリアンメロディックの礎とも言えるような重厚なハーモニーは、ハードロックにも通ずる雰囲気を持ち合わせていて、もっと様々なジャンルのリスナーに聴いてほしいと思えるバンドのひとつです。

Laughing in the Face Of

先ほどからたくさん名前が出てきているLockjaw Recordsに所属しているアーティストについても話を進めてみましょう。まずは来年来日を計画しているイギリス/バーミンガムの中堅、Laughing in the Face Ofの新曲『Bullshit with a Smile』。いかにもLockjawらしいテクニカルなファスト・メロディックで、Fair Do’sやThe Human Projectにも似たプログレッシヴな展開美を持ち、それらのファンは間違いなくチェックすべきバンドだろうと思います。2002年結成とキャリアはありますが、メンバーチェンジなどを経て、ここ数年本格的に動き出したようです。

Punk Rules Okayで来日経験があるAlmeidaは3ピースへとラインナップチェンジがあったものの、変わらぬスタイルで新曲『A Song For Europe』をリリースしました。パワーメタルばりのハイトーンとタッピングフレーズまみれテクニカルフレーズは、A Wilhelm Screamが好きなら気に入るはず。デンマーク/コペンハーゲンのFabled MindもLockjaw Recordsと契約を発表し、ニューアルバム『Passenger』をリリースしたばかり。緩急をうまく使ったドラマティックなファスト・メロディックサウンドは、メロディックハードコアやメタルコア的な美学もあるように感じます。

Paylester

このコラムの最後は、南米に目を向けてみようと思います。南米は長らくメロディックパンクが盛んな地域として世界的に認識はされていたものの、母国語で歌われる荒々しいサウンドが主流で、ドメスティックな人気にとどまっていたが、近年BelvedereやMute、Lagwagonなどが南米ツアーを行うなどし、盛り上がりが加速。南米を中心としたメロディックツアー、"We Are One Tour"は数千人がつめかけるような大規模なものへと進化を遂げています。注目は女性ボーカリストを有するPaylester。ブラジル南部の都市ポルト・アレグレで1999年に結成され、アンダーグラウンドな人気を持つ彼女らは今年4月にアルバム『DNAlien』を発表。Forusに強い影響を受けたツインリード主体のハイパーファスト・メロディックサウンドは、南米パワーメタルの血も感じさせながら、高いクオリティを持っています。同じくブラジルのOut In StyleはDead Neckを彷彿とさせるベースラインが印象的な哀愁メロディック。このバンドはイタリアのFankazが運営するレーベルToo Loud Recordsからアルバムを出していて、最新作『Broken Dreams』は、言われなければブラジルのバンドとはわからないくらい、現行ヨーロッパの影響を受けてます。彼らのようなバンドと同じように、Dillemaのように母国語で歌うファスト・メロディックバンドも混在していて、互いに影響しあっているのも南米の面白さのひとつ。

以上、長くなってしまったがファスト・メロディックの2019年リリース作品を振り返りながら、リード楽曲と、waterweedを筆頭に是非チェックしてもらいたい国内ファストメロディックバンドについて書いてみました。次回の更新もお楽しみに!